香川県の川鶴酒造の蔵見学に行ってまいりました。
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日本酒交友録
どうもスタッフのリョウです。4月2日(日)に大阪福島の井上酒店さんのご好意により香川県観音寺市にあります川鶴酒造さんの蔵見学に行ってまいりました。今年から川人祐一郎社長が悩みに悩んだ末大きな決断をされます。それは今までのように外部から杜氏を呼ぶのではなく社員杜氏制に変更すること、新杜氏には藤岡美樹氏を起用し(川人氏曰く、こいつと心中する気持ちで一緒にやっていくというお話をされていました)、酒質もどっしりしたものからスパッとキレるものに変えると言う大きな方向転換を今年の酒造りから始めました。しかし新体制初年度からハプニングの連続でした。まず蔵人の方が負傷して今年の酒造りは5人体制のはずが4人体制に…その分を川人社長が補うという形で始まりました。苦渋の決断をさらに迫られます、石高1500から半分以下の600石に落としました、それは現在の状況ではいい酒を飲んでくれる人に届けられないという飲む人のことを本当に考えてからです。1月には40年位使用していたヤブタ[酒を絞る機械の名称で藪田(ヤブタ)産業株式会社が作っているので]が金属疲労で破損してしまうという事態に陥りました。修理するのに数ヶ月かかるとのこと、どうなることか?となりましたが、以前使っていた小さいタイプのヤブタが残っていたので修理が完了するまでの間はそれで搾りを乗り切りました。
上の図はお酒造りの流れです。今回の変革がどのような部分を意識されているか感じていただくために上記の画像を載せています。
今年の造りで意識したことは米とどう向き合うかが藤岡杜氏が改革に取り組んだことです。精米、洗米、浸漬、蒸米、麹米に焦点を当てて酒造りに挑まれました。
精米
精米はお米を削る作業で、川鶴酒造は外部委託されています。なかなか理想とするお米がこないそうです。例えば100キロのお米の精米歩合60%なら60キロとなります。が厳密にきっちりした精米されているのではなく重さで判断されて届くからです。そいういう理由で川鶴酒造では精米歩合58%なら60%とラベルの裏に表示しています。お米は乾燥していると割れるので米の袋の中に綿の布を貼ったものを使用されています。
洗米
一つのお酒を造るには当然大量のお米が必要です、その日、洗米するお米の量を量るのに以前はすべて手作業で行っていたので作業を終えるのに3時間かかっていましたが、作業効率を上げるためにデジタルの秤を導入し作業時間を6分の1短縮したことで他にできる時間を確保されて理想のお酒を造るための作業に当てることが可能となりました(理想とする麹米を造ることつまり思い描く酒質につながる)。手作業での洗米ではお米は割れやすので、ウッドソンと言う醸造専門機器の会社の洗米器を導入したことで米が割れるのを防ぐことに繋げ、また使用する水にもこだわっています。洗米の水は井戸水(仕込み水でもあります)なのですが、そのお水も濾過して使用していました。濾過することでさらに柔らかい水になり米への大きな負担軽減に繋がりました。
浸漬
洗米したお米を水につけ、吸水させる作業です。浸漬に使う水の温度に気を使っています、低い温度であるほど米が割れにくいので濾過した水道水ではなく井戸水を使用しています。浸漬の時間はお米を見ながらの作業です(永年の経験と勘が生かされています)。お米が理想の状態になったら(水につけるとお米白くなります)、米を水から出し、自家製のバキューム装置の上に載せ余分な水を吸い取ります。そして浸漬したお米が蒸米に使用されます。
蒸米
お米を蒸す作業です。蒸し方に関しても研究されたそうです。2ヶ月間もの間いろいろな蒸気の出し方を試しながら理想とするふっくらとした蒸し方を見つけ出し、蒸米の担当は川人氏で、指示をしていたのは藤岡杜氏です。まさに二人三脚が生み出した産物です。
麹(麹米)
蒸したお米に麹菌をふりかけたものが麹米です。麹菌のつき方が味わいに影響します。総破精(そうはぜ)が米全体に麹菌がまとわりついた状態で、どっしりとした味わいになり、突破精(つきはぜ)は米の中心の一点だけに生じたものはスッキリした酒質になるという特徴があり、川鶴の麹米は突破精(つきはぜ)に変えたことで思い描く味わいになりました。
試飲
蔵見学のあとは試飲です。今年の酒は川人社長がおっしゃっていたような酒質になっていたのか?飲んでみると社長の言われていたようにスッキリ切れ味のある酒質に仕上がっており、甘ダレもなく今年の酒はいいものが仕上がっています。また季節にあわせて火入れ、生酒と使い分けていくとのことで、これから本当に期待の持てる改革をされたと思いました。
堀口君
さて、最後は田野々産の山田錦を造っている契約農家さん(11軒とお取引をされています)のうち一番いいお米を造る方の田んぼと畑を見学もしてきました。彼の名は堀口俊哉君と言いまして、なんと、今年から高校1年生の学生なんです。堀口君は小学5年生の時に、亡くなられたお祖父様から田んぼを引き継がれました。後継者がいなかったので、手放す話も出たのですが、おじいちゃん子であった堀口君は田んぼを引き継ぐことを決意し、周りの農家さんや家族の協力で米作りを始めました。彼の作る米は昨年、等級検査で1等を獲る(藤岡杜氏が作った米は3等でした)など米作りに関してはスペシャリスト(藤岡杜氏は米作りに関しては彼に相談することも多々あり、川人社長も香川の農業の未来は明るいと大きな期待を彼に寄せています。)なのです。そんな若者が契約農家にいるのでこれからの川鶴のお酒に期待が持てます。
川鶴の取り組みはまだまだ未完成ですが、さらに向上するポテンシャルを秘めていると個人的には感じましたし、このお酒を応援していきたいなと思いました。それでは川鶴のお酒を使った呑み比べも始まりますのでぜひご賞味くださいませ。
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