幻???の酒造好適米 「愛山」
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最終更新日:2016/09/01
What’s Japanese SAKE?
いつもいつも、お酒の入荷情報ばかりでございました。今回は趣向を変えまして、
酒米のちょっとしたお話をお届けしますね。
愛山というお米をご存知でしょうか?調べていくと色々話があるようで…
愛山の始まり
愛山は1941年兵庫県立明石農業改良実験所で「愛船117」=(母方が愛知三河錦4号&父方が船木雄町)を母方、「山雄67」=(山田錦と雄町を交配)を父方にして創られた戦前からと意外に歴史がある酒米である。栽培が難しいと言われる山田錦と比べて粒が大きく背が高く倒れやすいという難点があるため、一時農業改良実験所でも試験が中止されることもあるくらい栽培が難しい酒米です。
名前の由来は愛知と山雄から名付けられたました。
固定品種として認定されたのは1949年で太平洋戦争を経てからで、母方の父は雄町系、父方は山田錦と雄町の子という山田錦と雄町の流れを汲むという酒米会のサラブレッドです。
品質は大粒で、山田錦と同等かそれ以上の米粒の重さと米粕が少ないため酒造効率が良く心白が出やすく、さらに溶けやすい性質があるというところから酒造に適していると評価が高い一方で、
心白が大きく高精白するのが難しい(軟質米で米が砕けやすい)、また、砕米が多いと溶けが早く味の重い酒になりやすいという性質のため使い難い酒米でもあります。この評価はどちらとも正しい評価と言えます。どんなものでも扱い方一つで良くも悪くもなるということであります。つまり愛山は造り手の腕を問う酒米であるということです。愛山を使って酒を世に出している蔵は醸造技術がしっかりしているということにつながります。
愛山を育てていたのは?
この愛山を使って酒を醸していたのが剣菱酒造です。自社の酒の隠し味に愛山を使っており、兵庫県の一部の農家と契約して栽培を継続していました。
(実に40年間もの間、愛山を守り続けたと言っても過言ではない)
色々調べていくと、剣菱酒造が愛山を独占していたという声もあるが前述のように栽培の難しさからどの蔵でも扱えるほどの量が当時はなかったからだとも考えられる。また農家の人たちとの契約栽培にしても剣菱酒造が金銭的な面でもしっかりとしたサポートをしていたからこそ、長きにわたりこの酒米が存在してきたのではないのかと考えられるが、あなたはどう思われますか?
状況はあるできことで一変します。「阪神大震災」により剣菱酒造が被災しました。剣菱酒造はこの年の酒造を諦めざるを得なくなり、さらに契約栽培の愛山も買えなくなるという事態になります。それから5年ほど経過して愛山に注目をしていた十四代醸造元の高木酒造がお米を合法的に買い上げました。それをきっかけとして、高木酒造が中心となり愛山を使う蔵を集めて「酒道の会」を結成し、「幻の酒米愛山使用」を謳って酒を世に送り出し、愛山の魅力が広がる要因ともなりました。
剣菱が密かに独自ブランドとして育てていた酒米である愛山で醸した酒を、十四代醸造元の高木酒造が一般の人だけでなく、酒に携わる世界の人たちに披露したことは、大きく衝撃的な前進でありました。
現在、高木酒造の前述のような働きかけにより、他の蔵でも愛山を使って酒を醸せるようになり、私たちも愛山を使って醸されたお酒を目にすることも増えてきました。ここで考えられることは高木酒造の愛山という酒米に対する嗅覚であります。どの蔵でも扱っていなかった愛山に目をつけていたということと現在の愛山の広がりをみると、先見の明があったと言わざるをえません。その高木酒造が目をつけていた酒米・愛山を買い上げて、その酒米を使う蔵を組織化して品質に力を注いだということは愛山がいかに素晴らしいポテンシャルを持っているのかを物語っています。
補足・・酒道の会
2004年に発足。愛山を使う蔵が集まり各製品のブラインドテストを行い、著しく評価の下がるものは発売させないという会
参加蔵:十四代、磯自慢、出羽桜、くどき上手、飛露喜など
P.S.
ゴシップ的ではありますが、この愛山の使用をめぐっては剣菱酒造が訴訟を起こしたとか起こさなかったとか…
愛山は色々な意味で人を惹きつけるというところでは何かしらの愛される魅力がこの酒米にはあるのでしょう。
いかがだったでしょうか?愛山は扱う者によりそのポテンシャルを左右するところは、ある意味「幻」と謳われるところは意外とそこにあると思います。
そんなお米で醸したお酒を飲んでみたい!!!と思われた方多いのではないでしょうか???
そんな思いを叶える企画現在進行形で考え中です!!!是非ご期待くださいませ。
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