吉左右頒布 平成27年如月号
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吉左右頒布
* 熱燗や いつも無口な 一人客 真砂女 *
「?」を「!」に変えてゆく・・をコンセプトに、おいしいひとときを提供する「はてなのちゃわん」
好奇心あふれるお客様に、今月もパンフをお届けいたしました。コミュニケーションのきっかけ「語らいぐさ」としてお使いくだされば幸いです。
如月の知っ鷹鰤(しったかぶり)
つぶらかな橙が高い香りを放ち始めると、冬の味覚の王者である河豚が肥えてきます。本場の下関あたりでは不遇ではなく福に通ずるよう濁らずに「フク」と呼んでおり、その語呂合わせから2月9日を河豚の日としてきました。
河豚提灯でおなじみの愛嬌のある姿。あのように腹を大きく膨らませるのはなぜでしょう。好物のゴカイなどが海の底の砂に隠れ住んでいることに起因しています。その砂を勢いよく巻き上げ餌をおびき出すためにも、多くの海水をためておく大きな腹が必要だったのです。口先がラッパ状になっているのも、その効果を上げるために進化した結果です。どうやら「吹く」あるいは「腹」が、その名の語源と考えられます。
河豚は食いたし命は惜しし。昔の人はさまざまな呼び名に託して河豚毒の怖さを伝えてきました。
大阪で使われた鉄砲という隠語は、たまに当たれば死ぬとの洒落だったのでした。鉄砲の刺身をテッサ、鉄砲のちり鍋をテッチリとともに縮めて名づけられたものであることは全国で知られるところとなりました。
千葉の銚子では、めったに当たらぬが当たれば大きいとの意味で富くじといいます。九州の島原地区ではガンバと呼んでいますが、棺箱の訛ったもので棺桶を指します。
亡くなった人をお釈迦さんの涅槃にならって頭を北に向けて寝かせる習慣がありますが、これを北枕といい河豚の別称にもなっていました。
これらの物騒な言葉が目立つのは衛生管理が行き届かなかったころの話で、今では美味をうたう表現が多く見られます。
芳醇な旨みをたたえる白子。その色艶や柔らかさを中国人は楊貴妃と並ぶ美女、西施の乳房になぞらえ西施乳と呼んでいます。
最もおいしいとされるところはウグイス。腹びれ尻びれの間の砂ずり部分(口元という人もいる)で、伊藤博文公があまりの旨さに「ほ〜ッ」と感嘆したところから名づけられたとか。
鍋で重宝する部位は皮下組織。これを「とおとうみ」と呼ぶのは、身皮(みかわ=三河)の隣りだから遠江・・という地口なのです。
丸かぶり
今年の春の節分は2月3日(火)です。
季節の変わり目には邪鬼が生じるとの考えがあり、豆をまいて鬼を追い払う慣習が受け継がれてきました。豆は魔滅に通じ、年齢に一つ加えた数だけ食べると体が丈夫になって風邪を引かないといわれています。
また、近年とりわけ定着してきたのが巻きずしの丸かぶりの風習です。太い巻きずし一本を丸のままくわえ、恵方に向かって無言で食べきれば幸運を呼び込めるとされています。巻き込んだ福の縁を切らないとの意味から、包丁を入れずに丸かぶりで食べるしきたりが生まれました。なお、今年の恵方は西北西です。
ヤマアラシのジレンマ
この季節になると思い出されるエピソードがあります。
秋の終わりに、二匹のヤマアラシが暖かく冬眠しようと体を寄せ合いました。ところが、お互いのトゲが相手を傷つけてしまって心地よく休むことができません。かといって、痛みを避けようと遠ざかれば温もりが感じられません。くっついたり離れたりしながら適切な距離感を探り合ったというお話です。人間関係をうまく作り上げてゆくための工夫を哲学者ショーペンハウエルが寓話として記しました。
では、実際のヤマアラシは今どんなふうに眠っているのかご存知でしょうか。動物学者によると、正解は・・・トゲのない頭の部分だけを寄せ合っている・・・これが実態だそうです。
万物の霊長と言われる私たちも、頭を使って人との上手な関わりかたを考えなくてはなりませんね。
2月22日はショーペンハウエルの誕生日です。
トクダネ! クイズ!!
はてなのちゃわんでは、今月も吟醸酒三種を千円で飲み比べていただける企画を継続いたします。
さて、吟醸酒・・とは
精米歩合何%以下のものをいうのでしょうか?
2月28日(土)までに正解された方のなかから、抽選で3名様に当店自慢の日本酒飲み比べ無料券を差し上げます。
なお、先月の答えはヴィクトル・ユーゴーでした。
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