吉左右頒布 平成27年葉月号
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吉左右頒布
* 飲み干せし ビールの泡の 口笑ふ 立子 *
「?」を「!」に変えてゆく・・をコンセプトにおいしさを提供しております「はてなのちゃわん」
好奇心あふれるお客様に、今月もパンフをお届けいたします。コミュニケーションのきっかけ「語らいぐさ」としてお使いくだされば幸いです。
葉月の知っ鷹鰤(しったかぶり)
食べ物を口に運ぶときのスタイルはさまざまです。手づかみの人たちが世界中のおよそ四割で最も多く、ナイフフォークを使うのは三割、箸の文化は残る三割をしめています。この様式の違いは、主食とするものによって生まれたようです。肉食系では切って突き刺す必要があり、粘り気のある米や麺を主とする人たちは箸が重宝だったからでしょう。
日本料理では、客人を想いながら主人自らが箸を削って用意するのを最高のもてなしとしています。膳に箸の先を左にして置くのも右利きの人が食べやすいようにとの配慮で、相手を気遣う思いやりの心が表れています。
また、和食ではレンゲやスプーンは使いません。椀を口元まで持ち上げていただくため、器が匙の代わりを果たしているからです。箸だけで食するのは、世界広しといえども我が国だけの習慣のようです。
お隣りの韓国は食器を持ち上げてはいけないとのマナーがあるため、箸とスプーンの両方を使います。宮廷や両班のそれらは銀製のものが使われました。硫黄やヒ素に反応して変色するため、暗殺を察知することができたからなのでした。
8月4日(火)は語呂合わせで箸の日です。
kigo kireji
8月19日(水)は、これも語呂合わせで俳句の日です。
世界でもっとも短い定型詩。わずか十七拍が醸し出す限りない空間の魅力は世界中で理解されるようになりました。
芭蕉の代表作を例に、二か国語の翻訳で改めて味わい直してみましょうか。
ふる池や 蛙飛びこむ 水の音
An old quiet pond・・
A frog jumps into the pond,
Splash! Silence again.
閑寂古池傍 青蛙跳入水中央 撲通一聲響
古来の和歌では蛙は鳴くものとして詠まれていましたが芭蕉は水の音のほうを心に留め”わびさび”を感じさせる句に到達させました。43歳の作品です。
鼻を明かす
8月7日は鼻の日です。
若い方は学習ノート、年齢のいった方はローマ字の教科書に載っていた話を思い出されることでしょう。
ミケランジェロがダビデ像を彫り終えて、王様に見せたとき批判を受けました。「少々鼻が高すぎゃぁしないかね」 王とはいえ門外漢です。美術の価値もわからぬ者に上から目線で横柄に指図されるのが気にいりません。かと言って主君に逆らうこともできません。
一考の末、ミケランジェロは脚立を使って彫刻の顔のところまで登ってゆきました。が、鼻の部分には触りもしません。やおら、手のひらに隠し持っていた大理石の粉をパラパラッと落としたのです。これを見届けた王様が言いました。「あぁそれでずいぶん良くなったゾォ」 王様のさも満足げな表情に、一人ひそかな喜びを感じているミケランジェロでした。
相手を立てつつ自分の主張をも通す。彼は現代サラリーマンであったとしても有能で出世を重ねていくに違いありません。思えば、小学生のころから大事な処世術を教えてもらっていたのですね。
オサムらい師匠のわらべ料理指南 ③
スタッフのオサムは折に触れ子供たちに料理を指南しています。その食育活動の採録版第三弾です。
「きょう用意したんは真夏のスイーツ、プルンプルンのひんやりデザートやでぇ。右側にムースやババロアそれにゼリー、左には水羊羹に蜜豆や杏仁豆腐を置いといた。左右に分けたのは、ツルンとした状態に固めるために使った材料が違うからやねん。さぁ何を使って固めたんでしょうか。
まず、右側のものは冬の頃を思い出したら正解がわかるでぇ。真冬の朝、前の晩に食べ残した魚の煮汁がプリプリに凍ってたのを見たことあるやろ。あれは魚の中に含まれてるものが固まってできたんや。西洋のおやつは動物の骨や皮に含まれるゼラチンという物質を使って固めるんやね。
左側の日本や東洋のおやつは、天草やオゴノリという海藻を煮詰めたもの、寒天で固めてあるんやでぇ。
世界中の人たちが、その地域にあるものを使って工夫しながらおいしいものを考え出したんやねぁ。先祖の人たちに感謝しながら、いただきま〜すッ」
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