吉左右頒布 平成26年師走号
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吉左右頒布
ミスターチルドレンが歌う「十二月のセントラルパーク」の表現を借りると「何の修行だ?」ってほど・・に凍てついてきました。そんななか、ポインセチアの暖炉で燃え盛る火のような色がぬくもりを感じさせてくれます。
温かい料理を湯気吹き分けながら召し上がってください。
* 酌み交わし つつ貸し借りの なき師走 雅治 *
師走の知っ鷹鰤(しったかぶり)
今年も残すところあとわずかとなりました。
一年の締めくくりに撞かれるのが除夜の鐘。その数108については諸説があります。
まず、一般的なのは煩悩の数を表すという考え方です。
人間の六根である眼・耳・鼻・舌・身・意には、それぞれに好・悪・平があるとされていました。
この18類に浄・染の二種類あって、これらが前世・今世・来世に割り与えられているとの考えから割り出された数字なのでした。
6×3=18
18×2=36
36×3=108
次は、一年間の成り立ちによって算出されたという説です。
12ヶ月を四季に分け、それぞれをさらに六つに分けたのが24節気、これを三つに分けたのが72候で、以上を足しあわせると108になります。
12
4×6=24
24×3=72
12+24+72=108
もっとシンプルなのは、一年間の苦しみ苦労(四苦八苦)を追い払うという考えです。
4×9=36
8×9=72
36+72=108
ところで、硬式野球の公認ボールの縫い目も108と決められているのをご存知でしょうか。
土壇場の8回9回で、四球(死球)がきっかけとなって試合の決着をみることが多いため「最後まで気を抜かずに投げよ」との戒めを込めて縫い合わされている・・・・
8×9=72
4×9=36
72+36=108
お〜っと、この教訓部分だけは眉唾ものですから、他言なさらない方がよろしいかと存じます。
い〜ち にッ さ〜ん!!
12月3日(水)ワンツースリーの日にちなんで、こんな話題はいかがでしょう。
一つ二つ三つと数えるのに指を使うのは、世界どの国でも見られる方法です。
日本人は二通りのやり方が用いられています。じゃんけんのグーの形から人差し指、中指、薬指と順に立てていくやり方。あるいは、パーから親指、人差し指、中指と順に折っていく方法。あなたはどちら派ですか。「指折り数える」「屈指」という言葉があるところから、折って数えるのが本来であったに違いありません。
外国ではほとんどが立ててゆきながら数えるようです。
まず、台湾ではグーの形から小指、薬指、中指の順に開いてカウントします。ドイツ人などは同じ握りこぶしの状態から、親指、人差し指、中指の順に立てて数えてゆきます。なお、これは手話の数字を表すサインと共通しています。
手のひらを開いたところから数え始める国は少なく、日本と同じやり方の中国やインドぐらいでしょうか。それも、インドの場合は親指の先を小指の第三関節に当て1、順に第二関節へとあげてゆき2、3と数えます。4は薬指の第三関節に移る方法を取り、何と片手で12まで数えてしまうのです。
山本山
12月21日(日)は回文の日とされています。1221が左右どちらから読んでも同じ並びとなるとこらから定められました。
「竹薮焼けた」や「ダンスが済んだ」でおなじみの言葉遊びですが、日本語は作りやすいと見え秀作が多々あります。この季節ならではのものを紹介しましょう。
「月のもと 清しといへば 冬の夜の 夕ばへいとし よき友の来つ」
英語では作りにくいようで、短い文しかお目にかかれません。それも少々無理のあるものが多いようです。
「Eve」 「Madam, I’m Adam」
「イブ」 「奥様、私はアダムですヨ」
どんなお姉キャラの男性だったのかを思えば、不自然です。
そんな中にあって良くできているのは、これでしょう。
Able was I ere I saw Elba.
エルバ島を見るまでは余は可能なりき
史実とエピソードに則った納得の作品です。とくに、古語を使って雰囲気を醸し出している点でも見事といえます。
この一年ご愛読いただき、ありがとうございました。
A Merry christmas
and a Happy New Year.
この31文字すべてを組み替えると↓
May many a red wreath
carry happiness.
数多くの赤い花輪が幸福をもたらしてくれますように
良い年をお迎えください。
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